かつてイタリアの人気テレビ番組で “国境のないゲーム”(Giochi senza frontiere)という
番組がありました。また、4年に一度オリンピックが開催され人々を熱狂の渦へと巻き込む
ように、スポーツや、競技は一般に国籍や文化の違う人々を結びつける働きをします。

リエーティ市と伊東市の友情物語を語り始めるには、こんな風に始めるのがいいでしょう。
“昔々あるところにピンク色をしたイタリアの人気スポーツ新聞、「ラ・ガゼッタ・デッ
ロ・スポルト」がありました。この偉大なるスポーツ新聞は現在もなお、スポーツに関する
記事をイタリア人読者に毎日提供しています”

1979年の夏、ガゼッタ・デッロ・スポルト紙は日本で行われている、とある民俗行事につ
いての記事を掲載しました。日本の伊東市で開催される “たらい乗り競争” についての記
事で、イタリアでワイン醸造時に使用されるワイン樽(半分に切ったもの)によく似たたら
いに乗って川を下る水上レースです。

この記事を見たリエティ市民のマリオ・カルナッチ氏はリエティ市で1969年より行われて
いる、リエーティ・太陽の祭りの市民委員会委員長にこの記事の切り抜きを送りました。リ
エーティ・太陽の祭りのメインイベントである “ワイン樽レース” が伊東市の松川で1957
年から始まり、毎年7月に行われる “たらい乗り競争” に酷似していることに着目したた
めです。

こうして、温泉が湧くことで有名な静岡県の伊豆半島に位置する伊東市は、リエーティ市の
友好都市の対象として候補に挙がることになりました。リエーティ市はイタリア中部に住ん
でいた古代部族サビー二人が作った都市で、ラツィオ州リエーティ県の県庁所在地です。リ
エーティ市はテルミニッロ山の斜面に切り開かれた歴史深い街です。伊東市、リエーティ
市、両都市ともに重要な河川が街を流れることが共通点で、それぞれ、松川とヴェリーノ川
と呼ばれています。

Ito, Foto da Japan Visitor

リエーティと伊東はまるで恋人同士の様にまずはお互いをよく知り合い、情報交換、公式訪
問の期間を経て、1985年7月21日、リエーティ市において友好都市協定を調印しました。こ
の友好都市協定調印を記念して、ヴェリー二川のほとりにあるリエーティのローマ帝国時代
の橋のほとりに「リエーティ・伊東 永遠なれ!」というモットーが刻まれた銘板が設置さ
れ、ほどなくして、伊東市の松川のほとりにも同様の銘板が設置されたのです。

友好都市協定締結20周年を記念して、伊東市のリエーティ広場には記念碑が設置されまし
た。リエーティ市から送られたオリーブオイル搾油用石臼のモニュメントと、イタリア半島
や、リエーティの伝統衣装を纏った女性、オリーブの枝、テルミニッロ山が描かれたモザイ
ク画が、リエーティ広場の噴水をかたちづくり、オリーブの木も植樹されました。

2015年には、30周年記念を迎え、リエーティ市フラーヴィ通りの “伊東公園” の開園式典
が盛大に行われました。

リエーティ市と伊東市の間で育まれた友情物語は、単なる偶然から生まれ、それぞれの街に
流れる川で行われる伝統行事を縁として始まりました。そして、この友好関係は長年に渡り
続き、数多くの文化的、および商業的交流が生まれています。リエーティ市の友好都市委員
会は、日本人学生をホストファミリーとして迎える意向のあるリエーティ市の30以上の家
庭のリストを作成しました。

Rieti, foto di Alessandro Antonelli

2018年には、リエーティ市は日本人観光客を市内の宿泊施設にて優遇する “ジャパン・フ
レンドリー” システムの導入を開始しました。

2019年12月には、リエーティ市友好都市、国際文化交流委員会の責任者、エリザべッタ・
オッキオドーロ氏が日本大使館に招待された際、CIRプロジェクトの発足を発表しました。
このプロジェクトは、伊東市が経費を出費し、リエーティ市出身の学生(25~35歳)を伊
東市内にて一定期間雇用し、報酬も支払うという派遣プログラムです。

1979年の夏、ある一つの新聞記事がきっかけとなり、地球上に散らばっていた二つのパズ
ルのピースがひとつにまとまりました。この偶然の縁からすべてが始まり、いまや30年以
上も続く、友情と敬意に満ちた二都市の物語に命が吹き込まれ続けています。そして、リ
エーティ、伊東、両都市の市民たちはもはや、正真正銘の “地球の市民” としての自覚を
持つに至るのです。

リエーティ ― 伊東
1985年7月21日

リエーティ

伊東
ラツィオ州

静岡県

大陸性気候

温暖湿潤気候

観光スポット:

リエーティ旧市街地区
フォンテ・コロンボの修道院(アッシジの聖フランチェスコの聖地)
聖地グレッチョ(アッシジの聖フランチェスコの聖地)

観光スポット:

城ケ崎海岸
大室山

ご当地フード:

スパゲッティ・アッラ・アマトリチャーナ
ピッツィコッティ(イタリア版すいとん)
リエーティ風テルツェッティ
(正月の菓子)

ご当地フード:

うなぎパイ
ワサビ漬け
静岡茶

 

執筆  Floriana Maci 
翻訳   土田 ゆかり (Yukari Tsuchida)